十月の冊子は三冊です。

先月は、10月の為に3冊の冊子をつくりました。

"2012年10月の冊子"

一冊は論語で、十月のテーマは、

われは一以って之を貫く。

2冊目は松尾芭蕉の「奥の細道」です。

3冊目は、古今和歌集と新古今和歌集、
後白河天皇の「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」、
そして、中江藤樹(なかえとうじゅ)の「父母の恩徳」です。

古今和歌集は、
紀貫之(きのつらゆき)、
在原業平(ありわらのなりひら)、
小野小町(おののこまち)、
僧正遍照(そうじょうへんじょう)、
藤原俊行(ふじわらのとしゆき)にしました。

新古今和歌集は、
後鳥羽院(ごとばいん)、
藤原俊成(ふじわらのとしなり)、
藤原定家(ふじわらのさだいえ)、
寂蓮法師(じゃくれんほうし)、
西行法師(さいぎょうほうし)、
藤原定家(ふじわらのさだいえ)を選びました。

一年間続けた小冊子も、十一号でおしまいです。
楽しく遊び、手作りを楽しませて頂きました。

九月の設え、薩摩焼、秋草模様

爽やかな涼風とつくつく法師の音を聞きながら、
部屋の設えを楽しんでいます。

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写真の薩摩焼、秋草模様の大花瓶は、
今は亡き、祖母の親友の親子の方々が祖母の長寿を祝い、
昭和五十六年に下さったお品です。

文禄の役で、島津義弘氏が日本ヘ連れ帰った、
朝鮮の陶工によって創始されたと言う、薩摩焼。

記念にいただいた秋草模様の大花瓶には、
歴史の重みと人の心が込められていて、
何時見ても魅了されます。

香合は茶道の故園田りゅう先生と、
一緒に飛騨高山へ旅をした時に求めた、
一位一刀彫りのもみじ香合です。

古帛紗は息子一家が鹿児島ヘ旅した時に、
嫁の智佳子さんからお土産にもらったものです。

鹿児島の尚古集成館のコレクションで、
「桜立涌紋(さくらたてわきもん)」です。

島津家に伝わる犬追物(いぬおうもの)で、
装束の犬射籠手(いぬいこて)に使用されている文様です。

その装束は二十九代島津忠義が、
明治天皇の御前で犬追う物を行った時に着用したと
いわれるものです。

いずれも日本の歴史と優雅な文化を感じるお品ばかりです。

「墨場必携」閑適類十二字より

昭和四十年に、
書家の村上史山先生が書いて下さった色紙の額です。

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情を宇宙の外に放(欲しいまま)にし、
足を懐抱の中に息わん。

この世の外に情を欲しいままにするから、
俗事に拘泥せぬ。

名利の場に足をふみ入れることは要しない。

心の中で休ませる。

明治生まれの人達の学問の深さが偲ばれます。

親子で先生宅に伺って、書道の手ほどきを受けていた頃を
懐かしく思う夕方です。

和敬清寂

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安土桃山時代の茶人、千利久。

和、敬、清、寂は彼が定めた四規です。

和とは、「和らぎを以って貴しとなす。」

七世紀始めに、聖徳太子が定めた十七条憲法

「和を以って貴しとなす。」から来ています。

自分を整え、全ゆる環境に調和し、
誰とでも仲良くするという教えです。

敬とは、「清らかな心で人を敬い自らを慎む。」

江戸時代の儒学者、佐藤一斎の「言志四録」から引用されています。

「以春風接人、以秋霜粛自。」は、

「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む。」

という戒めの教えであります。

清とは、「静かな心で身を清め、然る後には環境を清浄に整えるべきなり。」

松平不昧公が定めた「茶湯心得五ケ条」の心身是清浄から引用されています。

寂とは、「体験をして自ら悟る。」

和敬清を通して自ら実踐すること。

自然を見つめ、自分自身を深くみつめ、

明日、未来に対して活力を養う。

「和、敬、清、寂」とは、

和して流れず、

敬してへつらわず、

清くしていさぎよく、

寂にしてやかましゆうせざれ。

と言うことです。

写真のお軸は、
昭和六十三年に、中国北京大学の満暮氏に特別に頼んで書いていただいた書を、
お軸にしたものです。

この他にも、茶禅一味、 焚香聴雨の軸は、
一期一会の思い出となっています。

これらの軸を掛けて、四季折々に茶道を楽しみながら

「茶道は真、善、美」の追求。」

をモットーに、精進しています。

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一日一言

六年前になりますが、
退職後、一年間取り組んだのが「一日一言」でした。

佐藤一斎「一日一言」ー言志四録ーを読む。渡邊五郎三郎、監修。

中江藤樹「一日一言」ー孝を尽くし徳を養う。中江彰、編。

二宮尊徳「一日一言」心を耕し、生を拓く。寺田一清、編。

吉田松陰「一日一言」魂を鼓舞する感奮語録。川口雅昭、編。

毎日、黒表紙のノートに四人の先人達の言葉を書きました。
それを知っていたのは当時、小学四年生の男児と、
高校生の青年の二人だけでした。

月一回会って抹茶でもてなして、楽しみました。

小学生の男の子は、私のノートを何度も見て、
欲しそうな様子でしたが、私は何も言いませんでした。

その先人達の教えを書いたノートは、最後に高校生の青年に手渡しました。

これから勉学に忙しくなるでしょう。

三冊に先人達の教えが一年間分書いてあるから、

役立つでしょう。 お使いなさい。

私にとっては退職後の、一年間の心地よい行でした。

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