現役時代の思い出

みどりの子どもとして、
私が現役時代に作って伝えたことばがあります。

私達は、人の嫌がることを言ったりしたりしません。

私達は、自分が悪いことに気がついたら、
素直に「ごめんなさい。」と謝って、
行いを改めてます。

私達は、みんな友達です。
弱い者いじめは絶対にいたしません。

私達は、赤ちゃんからお年寄りまでみんな仲間です。
困っている人がいたら助けます。

私達はこれからの日本をつくる社会の一員です。
人を大切に、家族を大切に、国を大切にする
ことを学びます。

私達は、世界の人達と仲良くします。
自然を大切に、地球を大切にすることを学びます。

私達は、みどり保育園で学んだことを忘れず、
元気一杯頑張ります。

自己確立と軌道修正が自分で出来る人作り。
それが私の願いでした。

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三つ子の魂百まで

3歳迄は充実期です。

三つ子の魂百まで。

人間は三歳位迄に、
思考力、創造力、決断力、判断力、コミュニケーションといった
人間として大切な能力を司る前頭前野の脳神経回路が
急速に築き上げられます。

その時に周りの家族、特にお母さんが
歌を聴かせたり、本を読み聞かせしたり、
しっかり抱きしめて愛情を注ぐ事がとても大切です。

そんな親子の触れ合いによって、子どもの前頭前野は、
凄く活性化されると云われています。

乳幼児期の親子の触れ合いは、一生を決定する。

とも云われます。

人は躾て人となるー手塩にかけて育てるー

の格言を生かし、幼い命の発達が目覚しいこの時期に、
人間として大切な心と感性と良い生活習慣の土台を養う
環境づくりに励みましょう。

日本の未来は子どもの力にかかっています。

原因があって今の世の中に結果として現われています。
危機感をもって努めましょう。

一歳児から就学前児のお茶ごっこの手ほどきをしますと、
二歳児が最も素直で美しい表現をいたします。

おとなが手を抜かないで、
自ら我が子の面倒をみて、大切に育てましょう。

手を抜いたら、手がかかる。

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語り聞かせがこころを育てる

子どもの聴覚は鋭いので、
小さい子ども程、ゆっくり、優しく、小さい声で、
美しいことばで表現したり、伝える工夫がいります。

音楽家の故大場善一先生は、

小さい子ども達を、世界に通ずる名曲で包んであげなさい。

と、指導してくださいました。

日本は品性、品格を重んずる静の文化を持った民族ですよ。

言葉もおなじですよ。

と嗜められました。

子どもと一緒になって言葉遊びを楽しみましょう。

萩原朔太郎の竹

光る地面に竹が生え、

青竹が生え、

地下には竹の根が生え、

根がしだいにほそらみ、

根の先より繊毛が生が生え、

かすかにけぶる繊毛が生え、

かすかにふるえ、

かたき地面に竹が生え、

地上にするどく竹が生え、

まっしぐらに竹が生え、

凍れる節々りんりんと、

青空のもとに竹が生え、

竹、竹、竹が生え。

就学前の児童の最後の想いでとして、
山登りをしていました。

登山の途中で竹林を観て、一人の子どもが、

「あ、竹!」と叫びました。

次の子どもが、「光る地面に竹が生え、」と連ね、
子供たちは次々と、萩原朔太郎の竹を、声を揃えて朗誦しました。

自然から学ぶ良い機会でした。
後年、良い思い出として役立つことを念じて、
朔太郎の竹を教えました。

文字指導二十年を経て、日本人の心を伝えたい。

幼い時期に本当に質の高いものに触れる事が
五十年後、六十年後になって人生を豊かにしてくれる。

その豊かさは、
子孫へ語り継がれることになるでしょう。

子どもは、大人以上に身体が柔らかく、
感性や感情も豊かで吸収力も旺盛です。

身体感覚が優れているので、
ことばのリズムやテンポも楽しんで喜びます。

この大切な時期を活かしたい。

それが、現役時代の私の想いでした。

この時期に日本の四季折々の歌や、諺、
自然を詠んだ一茶俳句や、蕪村、芭蕉の俳句、
宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」、高村光太郎の「道程」、
萩原朔太郎の「竹」、福沢諭吉の「ひびのおしえ」等を教えると、
子供たちは喜んで、自信をもって遊びの中でも学んだ言葉を発します。

子供達と一緒に暗誦して、
手に取って一筆ずつ福沢諭吉の名文を書いていくうちに、
教師と子どもとの魂が伝わり合い、教化されて行くのを感じました。

暗誦した言葉を、自然と遊びの中で、
発し続ける子どもたちの感性は大人以上のもので、
その素晴らしさには多いに触発されました。

毎日、五歳児に僅か数分間ずつでも繰り返し教えていると、
四歳児や三歳児も、自然に興味が浸透します。

何時の間にか、最高の日本語が、
子供たちの生涯失われない宝として身についてゆく。
そんな過程を目にしました。

生涯に亘って意味を発し続ける日本古来の豊かな文化。

幼少期に身体全体で学んで欲しい。

日本人として、そう願いました。