井伊宗観好みの十二月茶器から四月の棗です。
卯の花に郭公(ホトギス)の絵で、
潤み塗り、形は面中次です。
潤み塗りは、黒漆に朱、又は紅殻を混入して
栗色の落ち着いた光沢を持つよぅにした技法で、
黒漆の古色にも通じる色とされています。
潤み色の中に、灰褐色の郭公と卯の花が
黒漆で描かれています。
鳥は郭公(ホトトギス)です。
旧暦四月頃に山に来て鳴く声を、
楽しみにしています。
旧暦四月を卯の花月と云いますが、
初夏を清楚に咲く花には、自然と
「夏は来ぬ」も歌を口ずさみたくなります。
卯の花の匂う垣根に
ホトトギス
早やも来鳴きて
しのび音もらす
夏は来ぬ。