七月の薄茶器は、女郎花(おみなえし)に鵲(かささぎ)です。
藤原定家「詠花鳥倭歌(えいかちょうわか)」による本歌から、
女郎花、
秋ならで、
誰もあひみぬ
女郎花
契りやおきし
星合の空
鵲、
長き夜に
はねを並ぶる
契とて
秋まちわたる
鵲のはし
花と鳥を詠んだ茶器です。
小倉百人一首の撰者として名高い藤原定家。
定家の「拾遺愚草」にある「詠花鳥倭歌」の二十四首のものだそうです。
古今の和歌に造詣の深かった井伊宗観が
十二月茶器の図柄を用いて、和歌の花鳥画を現したものとされています。
潤朱塗(うるみ、しゅぬり)の下張棗(したばりなつめ)です。