旧暦、九月(長月)は秋の夜長の月です。
薄茶器は、尾花に鶉(うずら)です。
透塗(すかしぬり)の平棗(ひらなつめ)です。
溜め色の平棗には尾花(おばな)が黒漆(くろうるし)で描かれ、秋の夜の澄み渡った空に月が出ているように見えます。
溜め色(ためいろ)とは、小豆色のことだそうです。
地には金蒔絵の二羽のうずらと小さな草花が、月の光を受けたように照らし出されています。
秋の夜の侘びた風情が伝わってくる棗です。
虫の音を聴きながら、九月の薄茶器を片付ける前に、栗の渋皮煮で一服しました。