卯月の花は熊野の桜

春は桜。

以前にもご紹介した卯月のお茶盌です。

能楽十二曲の内の熊野です。

能楽十二曲の内の卯月の茶盌は熊野

今は亡き園田宗柳先生を思い出します。

良い師に恵まれ、良いお道具に恵まれました。

明日への希望

今日は天皇誕生日、今年最後の祝日でした。

2013年も残り僅かとなりました。

12月の玄関床です。

お軸は、臨済正宗、円覚南嶺、康岳師の「深雲古寺鐘( しんうんこじのかね)」です。

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大意:

深く立ちこめた雲の彼方から、梵鐘の音が朗々と響いてくる。
一年を顧みての様々な思いは、閑寂幽静(かんじゃくゆうせい)、
心を洗い、明日への希望が湧いて出る。

今年も皆様方の御厚意に支えられた一年でした。

本当に有り難うございました。

どうぞご自愛の上、良いお年をお迎えくださいませ。

十月(神無月)の玄関床

10月は神無月です。

今月のお軸は、鎌倉、建長寺派管長吉田正道老師の筆です。

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金剛王宝剣(こんごうおうほうけん)

大意

極めて絶ち斬る事の難儀な一切の煩悩、妄想を裁断する鋭利な利権。
雲水に放つ師匠の一喝である。

と有りました。

左側の「栢樹」の下には、「栢樹叟」と「恂正道」の二つの押印があります。

雅号の「栢樹叟」と、お名前の「恂正道」(じゆんせいどう)です。

右上の 冠帽印(引首印)は、「巨福」です。

今は亡き夫が、篆書、篆刻の道具を部屋一杯に拡げて作品創りに取り組んでいた事を思い出しました。
申年生まれでしたので、名前の一字と合わせて、雅号は「泰申」でした。

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九月の薄茶器

旧暦、九月(長月)は秋の夜長の月です。

薄茶器は、尾花に鶉(うずら)です。

透塗(すかしぬり)の平棗(ひらなつめ)です。

溜め色の平棗には尾花(おばな)が黒漆(くろうるし)で描かれ、秋の夜の澄み渡った空に月が出ているように見えます。

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溜め色(ためいろ)とは、小豆色のことだそうです。

地には金蒔絵の二羽のうずらと小さな草花が、月の光を受けたように照らし出されています。

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秋の夜の侘びた風情が伝わってくる棗です。

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虫の音を聴きながら、九月の薄茶器を片付ける前に、栗の渋皮煮で一服しました。

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