実りの秋の御礼参り

九月は色々な事が続きました。

お彼岸のお中日に、太宰府天満宮にお礼参りに行った娘が、私を喜ばせようと老舗の梅園さんで由緒あるお菓子を求めてきました。

9月23日は、ちょうど神幸祭(じんこうさい)の最中で、道真公の御霊はお礼参りの為に外泊中。 お神輿に乗って天満宮にお戻りになる事を梅園さんで教えていただいて、参道で拝礼したそうです。

そんな話を聞いた後で、今日はお抹茶と共にゆっくりと、梅園さんのお菓子を味わいました。

主菓子の宝満山です。

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奥深い上品なお味でした。

和三盆の干菓子も秋の風情が漂う雅なものばかりです。

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今年は、中秋の名月が満月でした。 ススキに月見団子のお干菓子をいただきました。

梅園さんのふのやきは「梅守」です。
天皇皇后両陛下の九州御巡幸の折に献上された記念のお品です。

娘が求めたのは、可愛い「ミニ梅守」でした。
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実りの秋は感謝祭。穏やかな一日を過ごしました

茶禅一味の敬老の日

今日は敬老の日です。
九州には上陸しませんでしたが、台風18号の影響で風の強い祝日です。

つい一週間前は、東京五輪開催決定で日本中が祝賀ムードでした。
今週は台風18号の影響で、京都で26万人に避難指示が出ています。
天上天下とも猫の目のように変わる日本の秋です。

九月はお祝い続きです。
重陽(菊節句)、敬老の日、秋のお彼岸と続きます。
台風のシーズンでもありますから、早目にお祝い事を済ませました。

高齢化が進んでいますし、大きな災害も増えました。
お互い元氣な内に、前倒しでお祝いしています。

今月は早目に、九十四歳の伯母上を見舞い方、伺いました。
栗のたっぷり入った風雅な秋味の棹物を娘が準備致しました。
石川県小松市松葉屋の「月よみ山路」です。

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それに栗おこわ、おはぎ、ちりめんじゃこを添えました。
何れも叔母上のお好きな物でした。

私の祖母を九十六歳の最後迄大切にして頂きましたので、ご恩返しです。
伯母上は何時も寛大で慈愛深く、その変らぬ美しい生き方が祖母と重なります。
やがて七十六歳を迎える私は、九十四歳で何時も矍鑠(かくしゃく)とした叔母上の姿から学んでいます。

我が家の床の間のお軸は、「茶禅一味」です。

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将軍義政から「茶の心とは何か」と問われた珠光は、

「茶とは遊に非ず、芸に非ず、ただ禅悦の境地にあり」

と答えたといいます。

「茶禅一味」は茶をたしなむ者の心の有り様に重きを置いた言葉です。
珠光の茶の湯では、「質素な茶室ではすべて平等で、身分や主従はなく、ただ亭主のもてなしの気持ちが大切。」とされました。

「仏は心の中にある」と説いた一休の思想を受けた茶道です。

「月よみ山路」には良寛の歌が添えられています。

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月よみの
光を持ちて
帰りませ

山路は
栗の
いがの多きに

悲喜こもごもの敬老の日、娘と一緒に一服しました。

皆様も、どうぞご自愛ください。

九月の玄関床

お軸は「和顔微笑」です。

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南宗寺僧堂師家。田島碩應老師。
臨済生宗、南宗吹毛。

大意

絆は人間社会の温もりの源。
爽やかさを以って、人に接するには、微笑みが何よりもたいせつ。
完成された人の微笑みはゆるぎない菩薩心の中にある。

花は秋明菊(秋牡丹)です。
我が家の庭の蕾を一輪挿しにしました。

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優しい白い花が咲きます。

夕暮れ空と八月の茶器「萩に雁」

八月の茶器は、紅溜塗(べにためぬり)の「萩に雁」の八角茶器です。

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旧暦八月は、葉月(はづき)萩月(はぎづき)雁来月(かりくるづき)、紅染月(べにぞめづき)とも言われています。
新暦では、ほぼ九月上旬から十月上旬までを指します。

八月の茶器の甲には大きく羽根をひろげた二羽の雁が羽ばたいています。
正面は秋の野の代表的な花である萩が描かれています。
芒(すすき)の穂も朱く染まっています。

八月五日に、紅く染まった夕暮れを見ました。

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紅溜塗の八角茶器に現された紅染月の「萩に雁」が、夕暮れ空と重なって見えました。

猛暑続きだった今年は、池の畔のススキも早くからそよいでいました。

美しい幻想的な夕暮れを観ながら、

「この瞬間を子ども達にも是非見て欲しい。」

と思い、写真に納めました。

夏休みのお客様

猛暑続きのお盆過ぎに、嬉しい来客がありました。
小学生三人のお子さんとお母さんです。

早速、子供達に冷たい地下水で手を洗ってもらいました。
それから直ぐに、お座敷でお茶ごっこをしました。

朝の内に、お盆点ての仕度をしておきました。
山道盆に朝顔の絵が描かれた中次の棗には、抹茶をたっぷり入れておきました。
四人のお客様だったので、
お茶碗は一楽、二萩、三唐津、と八月の平茶碗「松風」です。

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鉄瓶に湯を掛けて、三人のお子さんに手解きしながら、
お茶を点ててもらいました。

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お菓子は和三盆の磯遊びと金平糖です。
金平糖は、ガラスの器に好きなように子どもさんに入れてもらいました。

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お菓子は、お取り廻しで頂いてもらいました。

素直な三人の子どもさんは興味津津。
茶筅の振り方も柔らかく、上手に出来て細い泡の薄茶が出来上がりました。

先ず、お母さんへお茶をお運びしてもらいました。
それから、交代でお抹茶を点ててもらって、運んでもらいました。
無理無く、言葉少なく、短時間で、お茶ごっこが済みました。

それから、手作りの簡単な昼食にしました。
最初に、南瓜、人参、馬鈴薯、牛乳をつかった冷たいポタージュを出しました。
次に出した鶏の手羽元の蒸し焼きが人気でした。
下拵えして玉葱をたっぷり入れて、ジュツクリ蒸し焼きにしておきました。
素麺には、いろいろな生野菜と鶏肉のトッピングをしておきました。

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お寿司ご飯をついであげようとしたら、「お腹一杯。」の声。

食後のフルーツの梨を食べた後、庭へ出た子供たちは、
とかげや蛙やかまきりに興味津津でした。

外で遊ん後も、お茶ごっこをしたがった子供達。
今度は、二服づつ自分で点ててもらいました。
御自服して、満足したようでした。

「一期一会」

三人の子どもさんと愉しく遊んだ夏の一日でした。