三月の薄茶器は
桜に雉子が描かれた朱塗の棗(なつめ)です。
棗の形は薬器(やっき)と言って、
薬の容器の形から転用したものです。
花吹雪の中に雉子(きじ)がいます
弥生(いやおい)ー草木がいよいよ生きる三月は
春の野に出て楽しむ歌があります。
百人一首の光孝天皇の歌です。
君がため
春の野に出でて
若菜つむ
わが衣手に
雪は降りつつ
あなたにさしあげようと思って、
春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖に
まだ、雪がちらちらと降りかかってまいります。
春の七草。
芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎよう)、蘩蔞(はこべら)、
仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)。
古くから正月に七草を摘んであつものにして、
食べると、邪気を払うとされています。
又、春は苦いものを食べて、
体の中の毒とされるものを出す
時期とも言われています。
日本では古から四季折々に触れ、
理に適った風流な生き方をした人々がいた事に
改めて気づかされます。