文月(ふみづき)の玄関床の「軸」

七月は文月です。

今月の玄関床は、
京都、南禅寺派管長、中村文峰老師の書と画です。

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山気日夕佳

さんき、にっせきによし。

(夕景図)

大意

西山に陽が沈む夕焼空の美しさ、
夕陽を浴びて連なる山々の光景に思わず合掌。

仏に抱かれた悠々自適の境地だ。

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娘が福岡の舞鶴公園のお堀の蓮の写真を撮ってきました。

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卯月の玄関床

四月の設え、玄関床のお軸と色紙。

京都、黄檗宗(萬福寺)菅長、岡田恒令老師の書です。

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詠花吟月

大意

花を見たり、中天の月を眺めて
詩歌を口ずさみ、無心に楽しむ。
一点の計らいもなく自然と交わる境地は美しい。

色紙の「美」は、
四十五、六年前に私の子供が幼児の頃、
親子で書道の稽古に行っていた頃に、
書道家の史山先生に頂いた物です。

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子どもに遊び心で興味を持つ骸骨などを書いては
心に残る言葉を中に入れて、
印象づけて下さっていました。

寡黙な怖い印象の先生でしたが、
威厳のある大家でした。

桜の花と春のお軸

春の軸を掛けて、百人一首を詠んでいます。

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世の中に
たえて桜のなかりせば、
春のこころは
のどけからまし

在原業平の一首です。

急に暖かくなったので、
三池公園の桜の花が一度に開きました。

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百人一首から、桜にちなんだ歌を3首。

第61首

いにしへの
奈良の都の八重桜
けふ九重に匂ひぬるかな

伊勢大輔(いせのたいふ)

第66首

もろともに
あはれと思へ山桜
花よりほかに知る人もなし

大僧正行尊(だいそうじゃうぎゃうそん)

第73首

高砂の
尾上の桜咲きにけり
外山の霞立たずもあらなむ

権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)

毎月一回、朗読を学んでいます。
百人一首の大意の言葉のイントネーションや
アクセントを修正してもらいますが、中々上手くいきません。

時々、先生から

「完璧!」

というお言葉を頂戴しても、 内心では納得できません。

朗読を学び始めて5年になりますが、
難しいので長続きしているのかも知れません。

百人一首は昨年の7月からですが、
四季折々の自然を愛でて詠む楽しさがあります。

古の雅な人びとを連想しながら、
心の豊かさや情景の美しさ、
素直な表現と鋭い感性に多くを学んでいます。

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弥生三月、お軸とお香

3月の玄関床の設えは香炉です。

お軸は臨済正宗、京都妙心寺派管長の
河野太通老師(玄窟太通)氏の微風吹幽松

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微風、幽松に吹く。

大意
煩悩や執着を消し去って吹く風が
松林を吹き抜けて、今、感慨は新たな。
(寒山詩)

今年はお軸のカレンダーを掛けていますが、3月は

東日本大震災(平成23年三月十一日)岩手県陸前高田市、
市の森林を襲った大津波に一本だけ流されずに
屹立(きつりつ)していた松の命を悼む。

という老師の言葉が記されていました。

お香は銘香「久の松」を焚いています。

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香の由来は、
平安時代の後期の歌人、西行法師です。
四国八十八箇所の巡礼をなさった方からの戴き物でした。
玉泉院(西行庵)でお求めになったそうです。

澄んだ心に沁み透る上品な天然の白檀香を
天に召された方々を弔って毎日焚いています。

平成二十五年の御題は立。

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立處皆真。りっしょみなしん。

随処作主。ずいしょさくしゅ。

京都東福寺派管長、遠藤楚石老師の書。

立は、平成二十五年の御題です。

大意は下記の通りです。

自らの主体性を生かす様に心がければ、
どんな変化にも存在感を示し、振り回される事はない。

今年も心新たに遠藤老師の思いを汲み取り、
立處皆真、隋処作主に精進したいと思います。