七月は文月です。
今月の玄関床は、
京都、南禅寺派管長、中村文峰老師の書と画です。
山気日夕佳
さんき、にっせきによし。
(夕景図)
大意
西山に陽が沈む夕焼空の美しさ、
夕陽を浴びて連なる山々の光景に思わず合掌。
仏に抱かれた悠々自適の境地だ。
娘が福岡の舞鶴公園のお堀の蓮の写真を撮ってきました。
春の軸を掛けて、百人一首を詠んでいます。
世の中に
たえて桜のなかりせば、
春のこころは
のどけからまし
在原業平の一首です。
急に暖かくなったので、
三池公園の桜の花が一度に開きました。
百人一首から、桜にちなんだ歌を3首。
第61首
いにしへの
奈良の都の八重桜
けふ九重に匂ひぬるかな
伊勢大輔(いせのたいふ)
第66首
もろともに
あはれと思へ山桜
花よりほかに知る人もなし
大僧正行尊(だいそうじゃうぎゃうそん)
第73首
高砂の
尾上の桜咲きにけり
外山の霞立たずもあらなむ
権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)
毎月一回、朗読を学んでいます。
百人一首の大意の言葉のイントネーションや
アクセントを修正してもらいますが、中々上手くいきません。
時々、先生から
「完璧!」
というお言葉を頂戴しても、 内心では納得できません。
朗読を学び始めて5年になりますが、
難しいので長続きしているのかも知れません。
百人一首は昨年の7月からですが、
四季折々の自然を愛でて詠む楽しさがあります。
古の雅な人びとを連想しながら、
心の豊かさや情景の美しさ、
素直な表現と鋭い感性に多くを学んでいます。
3月の玄関床の設えは香炉です。
お軸は臨済正宗、京都妙心寺派管長の
河野太通老師(玄窟太通)氏の微風吹幽松。
微風、幽松に吹く。
大意
煩悩や執着を消し去って吹く風が
松林を吹き抜けて、今、感慨は新たな。
(寒山詩)
今年はお軸のカレンダーを掛けていますが、3月は
東日本大震災(平成23年三月十一日)岩手県陸前高田市、
市の森林を襲った大津波に一本だけ流されずに
屹立(きつりつ)していた松の命を悼む。
という老師の言葉が記されていました。
お香は銘香「久の松」を焚いています。
香の由来は、
平安時代の後期の歌人、西行法師です。
四国八十八箇所の巡礼をなさった方からの戴き物でした。
玉泉院(西行庵)でお求めになったそうです。
澄んだ心に沁み透る上品な天然の白檀香を
天に召された方々を弔って毎日焚いています。