弥生三月朗読三昧

三月は出会いと別れの季節です

梅の開花に喜んでいましたら、
何時の間にか散っていきます。

梅の花の変化は、
三月の季節そのもののように感じられます。

早速、百人一首から二首選んでみました。

紀貫之(きの、つらゆき)

人はいさ
心も知らず
ふるさとは
花ぞ昔の
香ににほひける

藤原興風(ふじはらのおきかぜ)

誰をかも
知る人にせむ
高砂の
松も昔の友ならなくに

百人一首の講義を受けて、万葉の世界に触れ、
自分なりに取り組んで、早二年。

私なりの朗読のスタイルができあがってきました。
この春は、どうにか仕上げの段階に入りました。
お風呂場にこもって録音しています。

台所や縁側で朗読しながら、
平安時代の人々の思いの深さ、
格調高い表現と奥ゆかしさ、
そして感性の鋭さに感じ入っています。

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写真は、娘が先日太宰府天満宮で撮った飛梅です。

百人一首がマイブーム

二年前の五月に、
百人一首の講座を受けました。

現役時代には、古典文学に親しむ時間がなく、
「書道百人一首」は本棚の中のものでした。

退職後は、卒園生や長い間お世話になった方々へ
論語や詩歌の冊子やCDを作って送りましたが、
それと並行して取り組んだのが百人一首の朗読でした。

「書道百人一首」は大意の表現が好きで、
何時読みあげても心地良く感じます。

朗読では、イントネーションやアクセント
に心を配っています。

「読書百遍、意、自ずから通ず。」

と言われますが、
二百回読んでも思うようにはいきません。

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百人一首は自己流で詠じていますが、
運動をして身体を整えないと声に響きが出ません。

毎日、料理、洗濯、掃除、庭の手入れ、
それに無理のない少しの運動を心がけています。

庭を眺めて、四季折々のもので、お茶一服。

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心身のバランスを取りながら、
気負いしないで、出来るだけ早く
百首読み上げたいと思っています。

百人一首、冬の茶碗

山部赤人、

田子の浦に

うち出でて見れば

白妙の

富士の高嶺に

雪は降りつつ

一月の来客にはこの茶碗で、お茶一服で喜ばれました。

老舗に作って貰っていた干菓子が無いのが淋しい限りです。

老舗の閉店と三代のお付き合いをした職人が亡くなったのが惜しまれます。

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百人一首と茶道具

村雨の
露もまだ干ぬ
真木の葉に
霧たちのぼる
秋の夕暮ーーー寂蓮法師。

中興名物、村雨のお茶入れです。
我が家には、お稽古用の写しがあります。

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小堀遠州による銘で、
遠州が寂蓮法師の歌意に因んで、
名付けたものと言われています。

茶入れの景色とも云える正面の窯変の部分を、
霧たちのぼる秋と見たのであろうと伝えられています。

茶入れを包んだ仕覆は遠州緞子とあり、
歴史の重みを感じ取りながら、
百人一首を学ぶ晩秋です。

伝来(本物)は、
小堀遠州ー加賀爪甲斐守ー土屋相模守ー
松平直亮ー根津嘉一郎ー根津美術館に
保管してあります。

長い間、人との関わり深い歴史の中で
伝承された茶道具、村雨です。

百人一首と茶道

秋の茶道具にも百人一首があります。

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嵐吹く
三室の山の
もみじ葉は
龍田の川の
錦なりけり。

ー能因法師ーのういんほうしー

蒔絵の薄茶器の名前は「鳴子」、峯清作の金輪寺形です。
後醍醐天皇が、吉野の金輪寺(金峯山寺)で、
衆客に茶を賜った時に使われたのが由来とされているようです。

茶道の中にも日本の歴史と文化を感じます。
日本の良さを継承したいと思う秋です。