バレンタインのサプライズ

バレンタインの前日に、
九十三歳の伯母上が、杖をついて、
夕方、家族のお供でみえました。

暫く東京の息子さん、娘さんの所に行ってらして、
お土産を山のよぅに戴きました。
私はちょうど通夜に出向く為に玄関にいて、
お構いもできませんでした。

翌々日、訪ねて行きましたら、
私の為に色々と準備して有りました。

さらにお土産を頂戴することになって、
伯母上の慈愛の深さに感激致しました。

七十五歳の私を娘のように可愛いがって
下さるので、本当に有難いことです。
仏様にお供えして、故人に御報告しました。

嫁の好物の「かもめの玉子」や、十勝の銘菓、
その他にも日本各地の品々を戴きました。
仏様達も驚かれていることでしょう。
息子家族にもお福分けしたいと思っています。

伯母上は、歳を感じさせない素敵な女性です。
私の理想の女性です。

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お雛様、どうぞ召し上がれ。

写真は仁清の写しの立雛香合です。

やがて、桃の節句を迎えます。
筑後の酒藏開きに行った
親友のルミ子さんから
お土産に甘酒と酒糟をいただきました。

秋田県にお住まいの彼女の岳友の
自家製の黒豆入りの寒餅も一緒に
頂きました。

早速、お雛様へお供え致しました。

「お雛様どうぞ召し上がれ。美味しいものを頂き、ありがたいネ。」

と語りかけました。

四季折々の自然を活かした日本文化の技と人の心を戴く仕合わせ。

甘酒を戴くのに杯台の上に朱盃を出しました。

秋田県にお住まいの小助川さんの稲作のご苦労を思い、
黒豆の入った餅を綺麗に切られ、珍しいのに 暫く見とれました。

友の何処までも懐の温かさと優しさに感謝、感激。

ありがとうございました。

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私のおもてなし法

毎月十三日は亡くなった主人の命日です。

お寺様からお昼頃にお詣りに来て下さるのを
お待ちしています。

寒い日も、暑い日も、バイクで見えるので、
お経が済んでから、四季折々の有る物で
軽くおもてなししています。

久福木の山の中は、市街地に比べると
気温が2、3度低いので、
今月は、旬の野菜を使って
具沢山の味噌汁を作りました。

大根、人参、白葱、じゃが芋、
南瓜、生椎茸、白菜、豆腐、生姜。
大根餅に使った擦り大根の絞り汁に
あご出しも少し入れました。

自然の物を活かしながら
美味しく戴く工夫をしています。

故青木コハキを九十六歳まで、
山の中で介護、看病した知恵が働きます。

器選びも楽しみの一つです。
大根餅は木皿、汁物は根来(ねごろ)の器、
戴き物のカリカリ梅紫蘇ひじきは小鉢に、
お茶は秋田産民芸の茶托にかば桜の湯呑、
箸置きは有明海のムツゴロウにしました。

この山の中まで、わざわざお越し下さるお客様に
喜んでいただけるのが、何よりの喜びです。

沢山作って、独り暮らしの方へも
お福分けしています。

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如月の思い出の茶杓

二月の思い出の茶杓です。

銘は飛梅です。
太宰府天満宮の宮司、菅原信貞、作。

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神花の梅の花の古木を以って謹製されたもので、
茶人に愛好されております。

との言葉に惹かれて、
昭和五十年に、今は亡き夫が
私にプレゼントしてくれました。

夫は茶道にも関心があり、
旅先で気に入った品を求めては
私にプレゼントしてくれました。

残された品には、
思い出が沢山入っています。

お殿方の来客には、
思い出の品を惜しげ無く使っています。

乙御前(おとごぜ)茶碗の写しに魅せられて。

本阿弥光悦の乙御前茶碗です。

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本物ではなくて、写しです。

昭和の頃、
京都楽焼き窯元の松楽さんを
知人の案内で訪ねました。

松楽さんの工房と展示場は、
自然の中の静かな佇まいで、
時の草花が自然に優しく活けてあり、
私は一ぺんに魅了されてしまいました。

そこで出遭ったのが、乙御前茶碗でした。
作者の試作品とされ、非売品でした。

乙御前茶碗の裏は、
高台が殆ど低く入り込んでいて、
まるで、おたふくさんのような
ふくよかな所が気に入って、
一度手に取ったら離すことが
できませんでした。

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売り物ではありません。

と何度も言われましたが、
何時間も魅せられて離さない私に
呆れてとうとう下さいました。

翌年、御礼を兼ねて伺いました。

松楽さんの温かい人柄が作品から伝わって来る乙御前茶碗。
何時も丁寧に扱い、時おりおりに惜しげ無く活かしています。
松楽さんの心が、皆さんに幸福を与えています。

使う程に景色が変わり、艶が出てきます。

茶碗は生き物。

と思って大切に使っています。

人も物も活かすことが好きな私です。

本阿弥光悦は江戸時代初期の芸術家で、
京都の人です。(1558ー1637)

刀剣の鑑定や書を学び、
寛永、三筆の一人と言われ、
蒔絵等の美術工芸にも、形や構成等に
創意工夫を凝らすことの好きな意匠であったとか。

楽焼にも秀で、茶道を嗜む。

とありました。