羅漢槙(らかんまき)と阿羅漢さん

三月三日の日曜日に
篠栗町の若杉奧之院まで巡礼をなさった
親友のルミ子さんが、篠栗巡礼の栞と
珍しい羅漢槙(らかんまき)持って来て下さいました。

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栞によると、

篠栗山の若杉山は神霊が在す山で
千古の労杉と共に「霊峰若杉」といわれてきた霊山です。

奥の院は弘法大師ご修法の地で、
神前に供える清浄な水を取る為に独鈷で掘った独鈷水があり、
ご霊水として喜ばれています。

とのこと。

四国八十八箇所の巡礼と同じく
修行をなさる所であることを知りました。

お土産に戴いた羅漢槙は
早速、玄関床に供えて香を焚きました。

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六十八歳迄、北アルプスの雄渾の山々に
登っていた彼女には、敬服しています。

東北地方に良き岳友を持たれているルミ子さんから
九州では珍しい品々をいただくことも少なくありません。
私も彼女のお友達の恩恵を受けている一人です。

篠栗の羅漢槙は、初めてでした。
早速、我が家に昔からある
薩摩焼の阿羅漢さんの壺を添えてみました。

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百人一首では、八十七首目の寂蓮法師の歌で、
槙が出てきます。

村雨の
露もまだ干ぬ
槙(真木)の葉に
霧立ちのぼる
秋の夕暮。

この歌には、
一幅の絵を見るような見事な情景が表現されています。

「幽玄の世界を観る想いがする。」とも言われていて、
お茶道の茶入れにもこの歌が使われていました。

弥生三月、お軸とお香

3月の玄関床の設えは香炉です。

お軸は臨済正宗、京都妙心寺派管長の
河野太通老師(玄窟太通)氏の微風吹幽松

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微風、幽松に吹く。

大意
煩悩や執着を消し去って吹く風が
松林を吹き抜けて、今、感慨は新たな。
(寒山詩)

今年はお軸のカレンダーを掛けていますが、3月は

東日本大震災(平成23年三月十一日)岩手県陸前高田市、
市の森林を襲った大津波に一本だけ流されずに
屹立(きつりつ)していた松の命を悼む。

という老師の言葉が記されていました。

お香は銘香「久の松」を焚いています。

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香の由来は、
平安時代の後期の歌人、西行法師です。
四国八十八箇所の巡礼をなさった方からの戴き物でした。
玉泉院(西行庵)でお求めになったそうです。

澄んだ心に沁み透る上品な天然の白檀香を
天に召された方々を弔って毎日焚いています。

陽春の彩りは源吉兆庵の春菜花

弥生三月。
日差しも明るくなったので、
今日は縁側で一服しました。

主菓子は宗家「源吉兆庵」の春菜花。
先月、九十三歳の伯母上から頂いた
真心のこもったお菓子 です。

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菜の花色の源吉兆庵の包みには、
こんな言葉が添えられていました。

暖かい光が心地よく、
穏やかな風がそっと頬を撫でる、うららかな春。

ひらひらと舞う蝶を追いかければ、
辺り一面を彩る菜の花畑。

春のひとときをイメージし、
柔らかい求肥で、上品な甘さの黄味あんを包み、
二色のカステラそぼろをまぶした
ふんわりと優しい甘さのお菓子をおつくりしました。

日本の優雅な文化を想います。
老舗の心意気が伝わってくる銘菓でした。

三月の茶碗は能楽十二曲から「西王母」です。

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百人一首の朗読を指導してくださる先生は
茶道もなさるので、春菜花を一竿お福分けしました。

やはり茶道をなさるお嬢様様がお喜びになったようで、
先生からのお礼状は陽春を思わせる綺麗な絵葉書でした。

弥生三月朗読三昧

三月は出会いと別れの季節です

梅の開花に喜んでいましたら、
何時の間にか散っていきます。

梅の花の変化は、
三月の季節そのもののように感じられます。

早速、百人一首から二首選んでみました。

紀貫之(きの、つらゆき)

人はいさ
心も知らず
ふるさとは
花ぞ昔の
香ににほひける

藤原興風(ふじはらのおきかぜ)

誰をかも
知る人にせむ
高砂の
松も昔の友ならなくに

百人一首の講義を受けて、万葉の世界に触れ、
自分なりに取り組んで、早二年。

私なりの朗読のスタイルができあがってきました。
この春は、どうにか仕上げの段階に入りました。
お風呂場にこもって録音しています。

台所や縁側で朗読しながら、
平安時代の人々の思いの深さ、
格調高い表現と奥ゆかしさ、
そして感性の鋭さに感じ入っています。

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写真は、娘が先日太宰府天満宮で撮った飛梅です。

水戸の梅とカモメのたまご

先月は、九十三歳の伯母に頂いた
三陸銘菓の「かもめの玉子」と「水戸の梅」で一服しました。

亡き夫が愛用していた京都楽焼の馬上(ばじょう)杯で
縁側から庭を眺めながらの一服でした。

茨城県中部の水戸市は、元徳川35万石の城下町です。
「水戸の梅」は梅や紫蘇の薫りが上品な主菓子でした。

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「かもめの玉子」は、
九州では滅多に手に入らない銘菓です。

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親友のルミ子さん姉妹にもお菓子と一緒に
二月の茶碗で一服差し上げました。

貴重なお菓子はお福分け。
皆んなが喜びや幸せを戴いた2月でした。