現役時代は、遊びことばと遊ばせことばで楽しむ

子どもは、遊びことばと遊ばせことばが大好きです。

現役時代は
子ども達との信頼関係を深める為に、
広縁に円卓と座布団を持ち出して、
一人一人に筆ペンを持たせ、手を添えて、
わたしのなまえを書いて遊びました。

子ども達は素直で挨拶も返事も上手。
姿勢を正して落ち着いて、
ことば遊びに聴き入っていました。

焦らず、ゆっくりと、優しく、懇切丁寧に語りかけると
ことば遊びの響きに笑ったり、応えたり、
次のことばを待って興味津々だったり。

子どもの心が手に取るように分かり、
面白くて頼もしい子ども達との一時でした。

例えば、
みどりはなこのという名前の場合、
一文字ずつ手を添えて一緒にゆっくり書き進める中で、

、 みかんは、みんな、三っずつ。

、どんぐりの、ねんねんころり、ねんころり。

、りすのりょうりは、くるみごはん。

、はな、はと、はた出す、ふしぎなてじな。

、なのはなばたけの、なかよし、ちょうちょう。

、こんにちは、こえだの、ことりに、ごあいさつ。

と語りかけをして、

「良く出来ました。 今日はこれでお終いです。」

と伝えて後は無言。 すると、

「ありがとうございました。」

と子ども同志が教えあって応えます。

他に不要な言葉はいりません。

子どもの頃に聴いた自然現象や社会事象、
諺、俳句、名文、四季折々の歌は
子どもの心を豊かに育てます。

自然に躾も出来て、
読書が好きになるきっかけをつくります。

子供たちは美しいことば、美しい表現力、
美しいものへの憧れや優しさを通して、
善悪が分かるようになります。
心で受け止め、気が付く人に育ちます。

六歳の就学前ともなれば、
子どもたちの成長には目を見張ります。

感性感情もより良く育ち、吸収力も旺盛で、
大人は感覚的に到底ついて行けません。

まるで、大人の生き方、在り方までも
問いかけてくるかのようです。

乳幼児期は大切です。

明日の日本を築く子供達を、
手塩にかけて育てましょう。

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現役時代のお茶ごっこ

現役時代は保育園で、
二歳児相手にお茶ごっこをいたしました。

五人ずつの席入りから始めて、
まずゆっくり子ども達へ話をします。

大事な事は、一回だけお話ししますよ。

よく聴いてくださいね。

両方のお耳でよく聴いて、
二つのお目目でよく見て、たしかめて、
頭でよく考えて、ゆっくり、お部屋へ入りますよ。

敷居は、お父さんの頭、縁は、お母さんの頭。
お父さんの頭とお母さんの頭のしきいとへりを踏まないで、
ゆっくり転ばないように、お入りなさい。

話して始めにして見せて、扇を膝前に置き、深く一礼します。

どうぞお入りください。

と云って、一人一人に無言で手を添えて一緒にします。

静寂の中で、
子ども達が一人一人集中して、真剣に取り組み、
敷居と縁を一人も踏みませんでした。

茶碗は、京都楽焼の松楽さんが、
子供達へ造ってくださった茶碗を使いました。

子供達の仕草に、
私の心の中まで見透かされた想いで、
鳥肌が立ち涙が流れました。

全身全霊で受け止める子ども達の偉大さに
畏敬の念を覚えました。

無限の可能性をもつ子ども達を
如何に育て上げるかが私の課題でした。

人の心のこもったものを感じ取る感性の鋭さと、
感情の豊さには何時も脱帽でした。

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