偶成ー朱熹

現役時代は、中学生の保育実習の受け入れをしていました。
子ども達に教えていた偶成を中学生に手渡すと、
彼らは次の日までに覚えてきて、姿勢を正して子ども達の前で、
声を揃えて朗誦してくれました。 子供同士で学ぶ良い機会でした。

少年老い易く学成り難し

一寸の光陰軽んずべからず

未ださめず池塘春草の夢

階前のご葉已に秋声

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萩原朔太郎の竹

光る地面に竹が生え、

青竹が生え、

地下には竹の根が生え、

根がしだいにほそらみ、

根の先より繊毛が生が生え、

かすかにけぶる繊毛が生え、

かすかにふるえ、

かたき地面に竹が生え、

地上にするどく竹が生え、

まっしぐらに竹が生え、

凍れる節々りんりんと、

青空のもとに竹が生え、

竹、竹、竹が生え。

就学前の児童の最後の想いでとして、
山登りをしていました。

登山の途中で竹林を観て、一人の子どもが、

「あ、竹!」と叫びました。

次の子どもが、「光る地面に竹が生え、」と連ね、
子供たちは次々と、萩原朔太郎の竹を、声を揃えて朗誦しました。

自然から学ぶ良い機会でした。
後年、良い思い出として役立つことを念じて、
朔太郎の竹を教えました。

高村光太郎の道程

道程

僕の前に道はない

僕の後ろに道は出来る

ああ、自然よ

父よ

僕を一人立ちにさせた広大な父よ

僕から目を離さないで守る事をせよ

常に父の気魄を僕に充たせよ

この遠い道程のため

この遠い道程のため

就学前の六歳児の子どもと一緒に、
道程の言葉を読んでいきますと、
子供たちは自然に自信を持って表現します。

又、ステージの上で集団で発表させますと、
友だち同志の声を聴き、みんなに合わせて心から表現します。

自信を持った子供たちの、魂の訴えの気魄には
胸に迫るものがありました。

子どもは社会の一人であることを教えてくれました。